大一大万大吉
先日、今話題の関ケ原(映画)を見に行って参りました。
原作は、司馬遼太郎氏の関ケ原。
勝った東軍大将の徳川家康ではなく、負けた西軍の石田三成にスポットを当てているところが素晴らしいと思います。
実際には、勝った東軍により負けた西軍、特に石田三成は悪とされてしまいました。
300年間徳川の時代が続いたのですから、石田三成に有利な情報(徳川家に不利な情報)は消されても当然ですね。
それでも、石田三成には、多くの逸話が残っております。
実は、私が一番好きな武将は「大谷吉継」です。
石田三成の盟友です。
石田三成と大谷吉継の間には、こんな逸話が残っております。
『ハンセン病を患っていた大谷吉継。
茶の席では皮膚のただれた大谷吉継の次席を皆嫌がったそうです。
それを察した石田三成は大谷吉継の次席に座り茶をすすった。』という話です。
話によっては、膿の落ちた茶を飲みほしたなどとも言われております。
更に、大谷吉継は石田三成の優しさに涙したとの話も・・・。
(ちなみに、現在ではハンセン病でなく別の病気であったという説もあります。)
また、豊臣秀吉に仕えるきっかけとなった「三献の茶」はあまりにも有名。
こちらは劇中でも描かれております。
私たち旅館のおもてなしにも通じる、非常にためになるお話です。
また、島左近を召し抱えるにあたり、自分の石高の半分を与えたお話も有名です。
などなど、調べればもっとたくさんのお話が出てきます。
これは、石田三成が素晴らしい人物であったからこそ、徳川の世にあっても公平に評価する人がいたという事です。(水戸黄門さんなどもその一人です)
いろいろと、書きたいことはありますが本題の映画に戻りますと、
率直な感想としては、歴史に詳しくない人が見ても状況が分かりにくいと思います。
司馬遼太郎氏の原作では「上」「中」「下」の3冊に分かれているボリュームを2時間に収めてしまっているので当然ではありますが、「何故そうなった?」の描写がほとんどないので、知っている人しか分からない部分が多かったです。
とはいえ、戦国最大の戦である関ケ原の合戦。両軍合わせて20万人近くの兵が終結した戦いです。
映画の中でも非常に大きなスケールで描かれておりますので、迫力のある映画館でご覧くださいませ。
(ここからは、ちょっとだけネタバレもあります!)
あと、大谷ファンとしては大谷軍の戦のシーンが欲しかったです。
小早川が動いた直後、「大谷軍が飲み込まれました」で終了は寂しかったです。
歴史好きな人にとって、自分の推し武将がいると思いますので、この作品が万人受けすることはないと思います。
特に、徳川家康ファンの方、原作では敵方の三成を称えるセリフも多いですが、映画では一切なく、徳川悪が強い内容ですので。
ちなみに、小早川秀秋に関しては、裏切りは本人の意思ではなくいい人に描かれています。
更には、合戦終了後に捕獲され大津城門前に晒された三成に「福島正則」「黒田長政」「小早川秀秋」が声を掛けるシーンは有名ですが、こちらも映画独自の物です。
そして、何より伊賀忍者が活躍しすぎ・・・。
などなど、原作とは異なる部分もたくさんあります。
「もう少し原作に忠実にしてよ!」という声も聞こえてきそうですが、よく言えば、原作ファンの方にも新しい関ケ原となっているのではないでしょうか。
最後に、今回のキーワードは間違いなく「大一大万大吉」だと思います。
石田三成の信念を表し、旗印ともなっているこの「大一大万大吉」。
「一人が万人のため、万人が一人の為に尽くせば、太平の世が訪れる」という意味ですね。
これは、現代にも通じる理念であり、企業理念、座右の銘など様々なシーンで使われますね。
以上、映画の感想はここまでです。
そして、兵庫県でも本作の撮影ロケが行われておりますので少しご紹介!
戦国映画では必ずと言ってよいほど使用される「姫路城」と「書写山円教寺」。
今回もロケで使用されていたようです。
そして、新選組の刀傷が残ることでも有名な「亀山御坊本徳寺」。こちらも度々ロケに使用されております。
以上、兵庫県下では上記の3か所で撮影が行われたようです。
有馬温泉からは、車で約1時間くらいですので、お時間があればロケ地巡りにお出かけくださいませ。
2017年9月3日(日)
有馬温泉月光園 幸坂
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