鴻朧館
游月山荘

有馬温泉 月光園便り

有馬温泉 月光園よりお得な情報をお伝えします。

フジバカマが楚々と咲いています。

現在、六甲高山植物園ではフジバカマが見ごろだそうです。
フジバカマといえば、秋の七草。
自然界ではもう秋が始まっているのですね。

小さなピンクの花が集まったように咲くこの花は、
花の色が藤色で、花弁の形が和服の花に似ているからこの名前になったそうです。
だから、漢字で書くと、『藤袴』。
とても粋な色の袴を思いますね。

でも、香りは桜餅に似ているんですって。
粋だけどおいしそう・・・とくれば、やはり和菓子ですね。
桜餅も美味しいですが、練りきりも抹茶に合うので私は個人的に好きです。

平安時代の女性はこのフジバカマの干した茎や葉っぱを水につけて髪を洗ったそうです。
昔から日本人は綺麗好きで、お風呂の文化も発達していました。
平安時代の女性といえば、その長い髪の美しさを競い、
また、香あわせというそうですが、香りを調合してはその芳しさも楽しみ、競ったといいます。
お香を着物に焚き染めて纏うこともしていたそうですので、
髪も殺菌や手入れだけでなく、気遣ったのかもしれませんね。

六甲高山植物園でぜひ、その美味しそうな香りと、
雅な名にふさわしい楚々とした優しい姿をお楽しみ下さい。

平成19年9月30日(日)
有馬温泉月光園 岡本

誕生花

今日、9月23日の誕生花は白いコスモスだそうです。
誕生花は全部で366種類あるそうです。
といっても、私の場合花と言うよりむしろ木だった気もしますが。
コスモスは漢字で書くと秋の桜と書きます。
種族としてはキク科。
秋に咲き、花弁の形が桜に似ていたことからその字になったそうです。

日本人は桜を好む方が多いそうですから、秋にもその面影を欲し、
そう名づけたのかもしれません。

コスモスは桜ほどに散り行く姿の潔さはありませんが、
真直ぐに伸びた茎の先に開いた花弁は確かに愛らしいですね。

桜と違い、桃色・白・赤など濃淡様々なコスモスです。

コスモスの語源はギリシャ語の「秩序」「飾り」「美しい」と言う意味の
「Kosmos, Cosmos」という言葉に由来するそうです。
そして、このことから星がきれいにそろう宇宙のことをcosmosと呼び、
花弁が整然と並ぶこの花の事もcosmosとよぶようになったそうです。

きっとそう呼び始めたギリシャ人は整然と美しく整った様子が好きだったのでしょうね。

語源はともあれ、今ではコスモスの姿を見ると「秋だなぁ」と思います。
私はまだ今年のコスモスに出会ってはいませんが、
コスモスがいたるところで見かける頃には、
有馬の自然も皆、その葉の色を紅に着替えているのでしょうか。

11月の大茶会の頃にはおそらくどの木も秋の姿で揃えているのでしょう。
鮮やかに着替える姿を見るのが今から楽しみです。

平成19年9月23日(日)
有馬温泉月光園 岡本

有馬の人形筆

有馬筆 ひょいと出たる 言のはも 人形よりは めづらしきかな

本居宣長が有馬の人形筆について詠んだ歌です。

有馬の伝統工芸品に指定されている人形筆。
誕生は孝徳天皇が有馬温泉に滞在中に子宝(有間皇子)を授かったことにちなんだものだと言われ、
そのため“子持ち筆”とも言われるそうです。

寝かせているときは柄の部分に色とりどりの絹糸が巻かれ、その柄も美しい筆。
文字を書こうと立てると、柄の上の部分からひょっこり顔を出す小さな人形。
これには男の子と女の子があると言うことです。
赤い着物が女の子で、緑の着物が男の子。
セットになった夫婦筆は、子宝授与の縁起物だそうです。

そんなおめでたい有馬の伝統工芸品ですが、本来筆ですので文字を書きます。
そのこととかけて詠った本居宣長もやっぱりはじめてみた時はびっくりしたのでしょうか。

ぜひ有馬にお越しの際は一度手にとってごらん下さい。

平成19年9月18日(火)
有馬温泉月光園 岡本

ユリ科のホトトギスが見ごろだそうです。


現在、六甲高山植物園でホトトギスが見ごろだそうです。

ホトトギスはホトトギスでも托卵する鳥のホトトギスではありません。
植物園ですので、お花のホトトギスです。
花びらにある斑点が鳥のホトトギスの胸の模様に似ていたことから付いたよう。

鳥のホトトギスは卵を別種の鳥に托す種類の鳥です。
托された卵から孵った雛は自分の命を守るため残酷とも取れる行為を行います。
もっとも、それは自然界の決まりごとの一つなのでおそらく人間が思う事というのは
彼らにとってあくまで外野の言い分なのでしょう。

生命力を感じさせるとも取れる鳥のホトトギスですが、
こちらユリ科のホトトギスは柄こそ似てはいても、好戦的な印象はありません。
何しろ、生える場所は

山地の日陰や湿り気のある崖。

直射日光を嫌うのか、乾燥を嫌うのか。
そんなひっそりと静かであろう場所に咲く花。
ユリ科といってもあまり大きくはないようですが、
白地に赤みがかった色の斑点柄はなんだか小粋な絞りの着物のようです。
夏が終わり、着物ももう絽といったものの時期を過ぎ、
徐々にウール系が肌に合う季節へ向かっていく。
薄絹のさわやかさ。
その名残を惜しむような、この時期の開花に思えます。

ぜひ、六甲高山植物園にて秋の訪れを感じてみられてはいかがでしょうか。
月光園では過ごしやすくなったこの時期だからこそのお得な宿泊プランをご用意しております。
そちらもぜひ、秋のレジャーにご活用くださいませ。

平成19年9月17日(月)
有馬温泉月光園 岡本

月光園のお茶室


月光園にはお茶室があります。
名前は拈華庵(ねんげあん)といい、鴻朧館の2階にあります。

ちなみに、鴻朧館のフロントは3階です。

姉妹館の游月山荘と館内で繋がっているのですが、
なにぶんにも山の中にあるので、鴻朧館の正面玄関は3階に。客室は5階からという形になっています。
だからといってお茶室やバーのある2階が地下というわけではありませんでした。

今日なぜ突然お茶室の場所を言い出したかといいますと、
月光園では立ち居振る舞いのお稽古のために茶道を習います。
私の第一回目のお茶のお稽古が今日でした。
というわけで、今日はお茶室に初めて入りました。
窓の外に青々とした山が綺麗です。教わったとおりに歩こうとすると足が混乱しましたが。

さて、茶道といえば千利休。
千利休といえば有馬温泉が大好きでいらした太閤秀吉。
太閤秀吉といえば、金の茶室を作ったと言われていますよね。

そのお茶室なのですが、今日始めて知ったことがあります。
畳の山の数って、ご存知ですか?
先生いわく、本間の畳には64あるそうです。
その64という数は、昔の日本の国の数(丹波、備中、肥後など)をあらわしているとのこと。

畳のフチの布を巻いてある部分、お作法上踏んではならないと教わりました。
その理由があるのですが、先生いわく。
『黒の麻を巻いてあり、黒の麻は僧侶の方の衣と同じ。』
なので、正座のまま膝でするように“越す”ことは良くても、足で踏んではいけないそうです。

その畳のフチですが、巻かれた布の端。
片方は畳の目のふくらみの終わりにあり、もう片方はふくらみの真ん中にあります。
これも意味があって、『山と谷』なんだそうです。
なので、片方の布の端がふくらみの真ん中にあるのが正しいそうです。
いかにも山岳国家日本!といった感じですね。

以前、テレビで『日本人には日本が足りない』というコマーシャルがありました。
今日お稽古を受けたことで畳の面白いお話を教わることができました。
当たり前に過ごしている日常の中にまだまだ知らない日本ならではのお話がたくさんあるのでは?
そう思うと、お作法を覚えることも楽しみですが、
日本の昔の人たちが作り上げてきたものに込められた意味を知るのも楽しみです。

平成19年9月12日(水)
有馬温泉月光園 岡本