「花は野にあるように活け」
花の美しさは、人生にたとえればほんのひとときであり、茶席に活けられた花の枯れるまでの刹那の美が、お客様に対するもてなしだということを、千利休は七則の中で教えています。
茶室に活けているお花は、豪華絢爛な小原流とは相対的に異なります。
「南方録」の中で、
「小座敷の花は一いろを一枝か二枝かるく活け、四畳半にもなりては、二いろをも許すべし」
と、花は少ないほど花そのものの美しさがあらわれて良いとあります。
お茶のお稽古の日にお花をみると(写真)、有馬籠に柏葉紫陽花と桔梗、そしてかんぞうのお花が挿してありました。これは、全て自然の野に咲く花です。籠花入の場合は、三種ほどは活けてよいそうですが、やはり茶室のお花は少ないほうが、茶室の清楚な空間と相乗効果を為して、美しく感じられます。これが、「わびさび」なのだなと息をのみます。
また、お軸には「雲収山厳青」とあります。作は、立花大亀という方で、紫野大徳寺の搭頭です。この「紫野」という地は…と、お茶の先生が大徳寺という茶人にとって大切な場所を、歴史を紐解いて教えてくれました。
大徳寺は利休が三門を寄進したのですが、二階部分に仏殿を設け、そこに数体の仏像の他に雪駄履きの利休の木像も安置した為、その門を秀吉が通った際に「利休の股の下を通らせた」と秀吉の逆鱗に触れ、利休を切腹させたそうです。切腹の原因は他にも考えられ、定かではありませんが、このような言い伝えがあります。
このようにただ一つの言の葉で、大河ドラマが奏でられるのは、文化の面白みですね。
平成18年7月25日 有馬温泉月光園 福山
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