鴻朧館
游月山荘

有馬温泉 月光園便り

有馬温泉 月光園よりお得な情報をお伝えします。

【有馬温泉月光園便り】神戸市中央区東雲通(しののめどおり)


ここのところ地名の起源の話を続けているので、さらに気になった話題をひとつ。

神戸市中央区に、東雲通と書いて「しののめどおり」と読む地名があります。
阪急春日野道駅のすぐ近所にある場所で、昔ながらの街並みを残した住宅街といった感じの地域です。
ネスカフェ、サントリーの自動販売機で100円販売に挑戦しているものがあったりして、なかなか興味深く散歩できます。
 東雲、というのもぱっと見では読めない地名ですが、昔の和歌などでよく使われていた言葉です。意味は明け方に東の空が明るくなる様子や、夜明けのことを言う場合もあります。
この「しののめ」のような読み方を熟字訓といいます。
2つ以上の漢字を訓読みするというもので、明日「あした」や、田舎「いなか」、果ては人鳥「ぺんぎん」なんてものもあります。
日本語を母語としない人が日本語を勉強するときのハードルになると同時に、日本語の奥深さを感じるものの一つでもありますね。

以前、漢字検定の勉強をしていた時に、この熟字訓が意外と難しかった覚えがあります。
漢字の読み方なんて余裕だろう、なんて思っていたら結構難しいものがあって、普段まず使わないような読み方も多くて戸惑いました。
 ちなみにこの東雲という言葉が使われた和歌としては、

     東雲のほがらほがらと明けゆけば おのがきぬぎぬなるぞ悲しき
     (意味:明け方になってしまって、着物を着て離れ離れになるのが悲しい)
     古今和歌集  読み人知らず

というものがあります。
地名ひとつ取ってみても、その語源を調べていくと本当に奥が深いと思います。
まだまだ調べていたいぐらいなのですが、明日はそろそろ別の話題をお届けできればと考えています。

   有馬温泉月光園 奥平